第1章 花信風 滝澤 /平子
気付いたら朝で、丈さんはソファで寝てた。
私も服を着てて、丈さんも着てて…夢?
昨日のは、夢?どこから夢??
時計を見るとまだ出勤時間には余裕がある。
丈さんにブランケットをかけて、私は朝の準備を始めた。
簡単にお化粧をして、朝食を作る。
だし巻きを作ったところで
「ん…ん」
って丈さんの声がちょっと聞こえた。
ソファの近くに行って丈さんを見ると、瞼がぴくぴく動いていて、起きそうで起きない。
丈さん、やっぱりよく見たら綺麗な顔だな。
目も涼し気でクールな感じだし、鼻筋も通っていて、くちび、る…も。
…朝から!!私は!!昨日の事思い出しちゃった!!
夢にしてはリアル過ぎた…。
******
「……」
「あ、おはようございます…」
「おはよ」
ちょっと舌足らずになるんだ、普段の平子上等からは考えにくい…。
「ご飯、出来ましたけど食べません?」
「ん、、頂く…」
「はい!」
キッチンに行こうとしたら、腕を引かれてソファにいる丈さんの上に乗ってしまった。
「!」
丈さんの顔に丁度覆い被さるような形になってしまい、顔が熱くなる。
「その前に、」
と、後頭部を丈さんに優しく引き寄せられ、唇が重なった。
ちゅっ、ちゅっ、と、リップ音がして耳まで赤くなるのが自分でわかる。
「んぅ、、はっ、んん」
こんな明るい時にこんなキス…。
少し目を開けたら丈さんも開けてて、慌てて閉じる。
そしたら、身体が反転した。
「きゃっ」
目を開けたら丈さんが上から私を見てて、思わず顔を隠す。
「お前、それ逆効果だぞ」
って耳元で囁かれて、朝から刺激が強過ぎる。
「…丈さん、ご飯は?いらないの?」
もう、恥ずかしくてちょっと強めの口調で言うと、丈さんはちょっと考えてから
「…食べる」
「じゃあ、ちょっと退いてください」
「…」