第2章 潜入任務 上
楽しい時間はあっという間に過ぎて、辺りは薄暗くなっていた。
みんなそれぞれ一人暮らしなので、夕飯を外で簡単に済ませ、明日も任務のため、解散することになった。
「2人とも、今日はどうもありがとね。」
「早く祝ってくれる彼女ができるといいですね。」
にっと笑って憎まれ口を叩くと「お前ね、お互い様でしょ。」とおでこを小突かれる。
手を振って別れ、それぞれの家へと向かう。
手裏剣ホルダー、喜んでくれてよかったな。
小突かれたおでこをそっと撫で、幸せな気持ちで夜道を歩いた。
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任務の合間、偶然会った同期のハナと広場の隅のベンチに座り話す。
アカデミーから一緒のハナは、姉御肌で、なんでも話せる気のおけない子。
今は病院で医療忍者として勤めている。
話題はハナの新しい彼氏のこと。
二股をかけられてるかもしれないという。
彼氏がいたこともないわたしには、どうしたらいいかなんて分からなくて、ただただ黙って話を聞いていた。
ひとしきりグチを言ったあとに「んで、サクは最近どうなのよ。」と話を振られる。
何もないよ、と言いかけてふと止まる。
「最近、ある人を見ると、ドキドキして落ち着かなくて…。
でも、任務でよく一緒になるから、どうしていいかわかんない…。」
「まじで?
誰よ!恋愛なんて今までさっぱりだったあんたをそんなにさせたの!」
大興奮のハナを見上げ、視線を前に戻す。
「…カカシ先輩……。」
名前を言っただけで、顔が熱くなるのがわかる。
「え?あの無口で暗ーい先輩?」
ハナがポカンとした顔でわたしを見る。
「無口だけど、暗くないんだよ!
すごく強いし、実は優しくて仲間思いだし!
それに、笑顔がかわいいし…。」
「笑顔って…。顔半分口布で隠れてんじゃん。」
「や、そうだけど、近くで見たらわかるじゃん。」
必死でカカシ先輩のいいところを伝えようとするわたしに、ハナがクスッと笑う。
「でも、忍術バカのサクにはお似合いかも…。」
「や、まだ好きかはわかんな…。」
「そんだけ言っといて何言ってんの。
顔に大好きだって書いてあるよ。」
「えっ!?えっ!??」
慌てて頬を抑えるわたしをハナが笑う。