第90章 船長勝負
「それは危ないんじゃない?もうちょっと簡単なやつにしたら」
「船長になるなら一番強くないとダメだろ!それにおれたちだってもう十歳だから、大丈夫だ!」
「でもルフィはまだ七歳でしょう?二人に合わせたらルフィが可哀想だよ」
「おれだって倒せるぞ!バカにすんな!」
水琴の言葉にプライドを傷つけられたのかルフィが怒り逆にやる気を出してしまう。
失敗したと思うがもう訂正は無理だ。
最後の頼みとばかりに水琴はサボの方を見る。
「ねぇ、サボからも言ってよ。もうちょっと簡単な方がいいよね?」
「__いや、いいんじゃないか?」
同意してくれると思った彼にまで裏切られ水琴は目を丸くする。
サボはといえば自身の中で何か勝つ根拠でも出来たのか、うんうんと一人納得している。
「ルフィのレベルに合わせたら俺達には簡単すぎるし、あれだけ難易度が高ければ実際の力量だけじゃなく知恵も必要だろ。それならある意味ルフィにも分はある。なにより、そんな戦法は俺が一番得意だしな!」
意外にもしたたかである。普段は二人の宥め役になることが多いサボではあるが、勝負ごとになれば譲らないどころか積極的に勝ちにいこうとするところはやはりというべきか。
しかし困った。三人は完全にやる気になり、今すぐにでも飛び出していってしまいそうだ。
このままいかれては完全に制御不能になってしまう。水琴は仕方なく妥協案を提示することにした。
「分かった!それでいいけど、私が危険と判断したらその時点で終了だからね」
「それでいいよ。水琴が審判してくれるなら公平だしな」
「絶対おれが勝って船長になるぞ!」
「お前にはぜぇっったい無理だね!」
「いーや!おれが勝つ!」
「はーい、決まったところでまずはご飯しっかり食べちゃって!勝負は午後からね!」
わいわいと言い合う三人に水琴がそう叫べば止まっていた手が再び動き出す。
大量の料理はあっという間になくなってしまった。