第90章 船長勝負
ちらりとエースを見る。もう先約があるというのは簡単だが、彼が口をつぐんだのなら勝手に言わない方がいいだろうと別の切り口で話を収束しようと試みた。
「ほら、それなら三人で海賊になればいいんじゃない?それならみんな一緒に海に出られるよ」
「なら船長はおれー!」
水琴の提案に真っ先に手を挙げたのはルフィだった。
それにすぐさまエースが噛み付く。
「お前に船長なんか無理だろ。一番弱ェんだから」
「いや、船長になるなら力もそうだけど判断力も必要だろ。ならやっぱり俺じゃないか?」
「一番強いやつが船長に決まってるだろ!サボはどっちかっつーと航海士じゃねェの」
「ちがう!おれが船長なんだ!」
「誰が船長かってそんなに重要?」
「「「当たり前だ!!」」」
呆れている水琴の前で三人の言い合いは続き、ついには誰が一番船長に相応しいかという話に発展した。
「じゃあ、こうしようぜ」
エースが一本指を立て終わらぬ口論にある提案をする。
「森の王いるだろ。あれを倒したやつが船長ってのはどうだ」
「あいつを?一人では厳しいだろ」
エースの提案にサボは眉をひそめた。
森の王というのは巨大な熊のことだ。
その大きさはビル何階建てに相当するかという程で、水琴はあれが熊かどうかも怪しいと思っている。
コルボ山の主と呼ばれるに相応しいその熊は三人が束になっても敵わず、普段は見かければ逃げの一手で極力関わらないようにしている。
それを一人で討とうというのは、どう考えても死亡フラグだ。