第65章 たとえ御旗は異なれど
河口の向こうに偉大な海が広がる。
そしてその海に至る道を塞ぐように、何隻かの海軍の船が包囲を固めていた。
「行くぞ水琴」
作戦通りエースが速度を上げ前に出る。
巻き込まれないように距離を取りながら、だが置いてもいかれないように水琴は砂ぞりを操りその後を追った。
最初は砂上用ということで心配だったが、海の上でもこのそりの性能は全く衰えず水琴の意のままに動いてくれる。
これならなんとかエースにもついていけるだろう、と水琴は前を行く背中を見つめた。
一際大きくエースの炎が燃え上がる。
「あそこだ!いたぞー!」
警戒態勢に入る海軍を挑発するように、エースは軍艦の間をすり抜けながら炎をぶつけていく。
威嚇用なのでそこまで燃えはしないが、こちらに意識を持ってこさせるには十分だと思った。
だが、海軍はエースを狙おうとはするものの必要以上には追ってこない。
ある程度離れると、姿を現したゴーイングメリー号へと向かってしまった。
「えっ?!どうして??」
「__連中の中に頭がキレるやつがいるな」
満足な対策も取らず白ひげの幹部を狙うより、この一連の騒動の中心となった麦わら一味を捕獲する方を選んだらしい。
崩れない陣形から、海兵たちの練度も高いことが窺われる。
「これ以上あいつらを引っ張ってくるのは無理だな」
「じゃあ、早くフォローに……!」
「__いや。このまま行くぞ」
「えっ?!」
まさかのエースの言葉に水琴は抗議の声を上げる。
「騒動の混乱に乗じるならまだしも、公然とあいつらの助けに入れば今後困るのはルフィたちだ」
「あ……」