第63章 絶望の中に見える光
「ビビ!」
その背に思わぬ声が掛かった。
聞くはずがない、それでも待ち望んでいたその声にビビはゆっくりと振り向く。
「コーザ……」
「コーザ、お前……昔使った抜け道を……」
「おれの目は……どうかしちまったのか」
国王を説得しに来たはずが、と反乱軍を率いて戦っているはずのコーザがあまりの惨状に二の句を告げずに立ち尽くす。
こと切れるツメゲリ部隊。
壁に縫い付けられた血まみれの国王。
”国の英雄”の足元で血だまりに伏すこの国の守護者。
「困惑してるみたいね……簡単よ?
あなたがイメージできる”最悪なシナリオ”を思い浮かべればいいわ」
黙り込むコーザにミス・オールサンデーは残酷な助言を与える。
「コーザ、あのね……」
「ビビッ!!」
説明しようとするビビを遮りコーザはビビの名を呼ぶ。
「この国の雨を奪ったのは誰なんだ!!」
「__何もかも…」
「おれさ、コーザ」
ビビの後を継ぎクロコダイルが最悪の種明かしをする。
「お前たちが国王の仕業だと思っていたこと”全て”……”わが社”の仕掛けた罠だ。
お前たちはこの二年間、面白いように踊ってくれた」
王族や国王軍が必死におれたちの影をかぎ回ってたってのにな、とクロコダイルは掌の人形だったコーザをあざ笑う。