第63章 絶望の中に見える光
「クハハハハ!!勝手に死ぬんなら……
おれが手を下すまでもねェよな?」
遥か頭上に一瞬で移動したクロコダイルは手の届かぬ距離で虫の息の四人を見下ろす。
「戦うこともせんのか……っ」
それは命を懸けた戦士の想いを踏みにじる行為。
同じ土俵に上げることすら許さぬ、敬意も何もない所業にチャカは怒りを滲ませる。
「ア…アア……!」
ガフ、と血を吐き最初の一人が崩れ落ちる。
それを皮切りに四人は次々と地へ沈んだ。
「チャカ、様……」
「___っ」
瞬時に人獣型へと変じたチャカはその野生の脚力で一気にクロコダイルとの距離を縮める。
「クハハハ!!間抜けってのはまさにこのことだなァ!!」
「おのれ貴様ァ!!!」
「チャカよせ!!お前まで死んではならん!!」
コブラの生死を振り切りクロコダイルへの懐へ飛び込んだチャカは怒りのまま刃を振る。
「”イヌイヌの実”……モデル『ジャッカル』
__”鳴り牙”!!」
砂漠を闊歩するサンドラオオトカゲすら両断するその一太刀も、自然系の前では無力。
「___てめェも……他人のために死ぬクチか」
「……っ!」
砂となり攻撃を受け流したクロコダイルは左腕の鉤爪を容赦なくチャカの胸元へと振り下ろした。
血飛沫が舞いチャカは崩れ落ちる。
「弱ェってのは……罪なもんだ」
「チャカ!!」
血だまりに沈む守護者にビビは叫ぶことしかできない。
「さァ……あとはお前だけだ、プリンセス」
冷たい殺気を秘めた眼差しにビビはそれでも最後まで戦おうと震える足を踏みしめしっかと立つ。