第61章 決戦の舞台
ゴォ___ッ!!
ビビを中心に風が吹く。
すっぽりと包み込むように生まれた球体の風はビビと、ビビを庇うようにその上に覆いかぶさっていたカルーを疾走する馬やラクダから守る。
通り過ぎた後、風は静かに止んだ。
「ビビ!!」
背後から水琴が駆けてくる。
砂に座り込んでいたビビに抱き着くと、無事を確認し水琴はほっと息を吐いた。
「もう!心配したんだから!」
「……ごめんなさい」
心配そうに自身を見上げてくるカルーを撫で、ビビは悔しそうに俯く。
「……でも、こうまでしても…反乱は始まっちゃった……!」
「ビビ……」
「だけど、止めるわ。何度跳ね返されたって……!」
ぐっと強く拳を握る。
涙を零すまいとする強い瞳はまだ絶望を宿してはいなかった。
「船で学んだのよ……諦めの悪さならっ……!」
「___そうだよ」
そっとビビの手に水琴の手が重なる。
「行こう、ビビ。___まだ、終わってなんかない」
「ビビ!!」
立ち上がろうとするビビたちの前に馬が止まった。
馬上からはウソップが手を差し伸べている。
「ウソップさん……」
「こんなところにいたのか。早くしないと反乱は酷くなる一方だ!向こうに反乱軍のリーダーがいた。案内するから来い!」
「コーザが……?」