第50章 存在の定義
「服ー!!」
ばぁん!!とルフィが盛大に扉を開け現れた。
「なにあんた、何の騒ぎ?」
「あ、ナミお前大丈夫か?じゃなくて服貸してくれよ!」
「あんたなんでそんな恰好でいんのよ」
ルフィはいつもの赤いベストと短パン姿だ。
見ている方が寒くなる、と水琴はぶるりと震えた。
「どっかいった!」
「ったく…あっちのクローゼットに私の上着入ってるから着て行っていいわよ」
「えー?お前の上着かっこ悪いんだもんなぁ…あ!水琴の貸してくれよ!」
「やだよ!寒いもん!」
いくら城の中とはいえ、入口が開いているせいで外にいるのと同じくらい寒い。
ナミの部屋は暖炉があり温かいが、一歩外に出れば極寒だ。
ワインレッドの上着を取られないようにしっかりと前を合わせると、しぶしぶとナミの上着を着て出ていった。
一体何をしてるんだ。
「大丈夫かなぁ…」
「平気平気。あんたも休んだら?」
ぽすんとベッドに横になったナミを見て確かに大分疲労が溜まっていると自覚する。
さっきルフィが寝ていたベッドを使わせてもらおうと、ナミに一声掛け部屋へ向かった。
少し固いマットレスにごろんと横になる。
あっという間に水琴の意識は眠りへと落ちていった。