第40章 風の呼ぶ声
「まぁいいさ。来な水琴。少し話をしよう」
「え、あ、うん」
よく分からないまま水琴はベイの後を追う。
案内されたのは小さな家屋だった。中に入れば赤々と暖炉が燃えその温もりに水琴はようやく息をつく。
「外気はしんどかったろう。カゼカゼの実の能力者じゃあこの島の冬には耐えられないだろうね」
「やっぱりすごく寒いの?」
「寒いなんてもんじゃないよ。あれは”痛い”だね。中途半端な装備じゃ凍傷であっという間に指を持っていかれる」
ベイの言葉に水琴はようやく戻った温もりが冷えるのを感じた。
改めて、今の季節が秋でよかった。
「さて。覇気の話だが」
椅子に座り長い足を組み換えベイが早々に話を切り出す。
「そうだ、見聞色ってどういうこと?」
「おやっさんの話じゃ、水琴は見聞色の才があるんだそうだ。覇気については知ってるかい?」
問われ頷く。新世界では常識のような力だ。
肉体を覆い強化したり能力者の実体を捉えることが出来る”武装色”
気配や意思などを察知したり生命の心の声や感情を聞くことが出来る”見聞色”
そして数百万人に一人、”王の資質”を持つ者のみがその素質を備えている、相手を威圧する力、”覇王色”
能力者でなくても、この覇気を使いこなせれば自然系すら倒せると聞く。