• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



松本には……明日、バスで謝ろう。

続いて、着信履歴の残る相手にコールした。


『……待ちくたびれたよ』

「……ごめん」


電話口から聞こえてきた穏やかな声に、素直に謝った。


『無視されてんのかと思った』

「来客があっただけだよ。そんなわけないじゃん……」


俺は笑って、壁によりかかって座った。

俺が自分をさらけ出すことができる数少ない人物。

父ちゃんが死んだあと、親戚に騙されて一文無しになった俺を救ってくれた人。
優しい人。


『元気にしてるかい?』

「うん」

『……学校は、ちゃんと行ってる?』

「行ってるよ?……なに、サボってると思った?(笑)」

『少しね』

「ひど」


くすくす笑って、ベッドの上で足を組み直す。
俺はこの人のおかげで、自分らしい生活を取り戻した。
路頭に迷いかけた俺を導いてくれた。
なんの血の繋がりもないのに。
父ちゃんの子供というだけで、手を差しのべてくれた。


『困ったことはないか?』

「うん。大丈夫」

『バイトは?』

「行ってるよ」

『……嫌なことないよな?』

「大丈夫」

『……そう』


電話口の声が、少し安心したような声音になる。


「雅紀さん」


だから、俺はこの人のためならなんだってする。



『ん?』

「そっちいっていい?」

『……今から?』

「うん」

『…………気をつけておいでよ』

「わかった」


俺は静かにスマホをおろした。
/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp