第4章 夕虹
俺はベッドに胡座をかき、スマホの画面をみつめた。
会いたい、と一度思ったら、その気持ちがどんどん大きくなって、もて余すようになってきた。
あの笑顔に会いたい。
慰めてほしいとかそんなことではないが。
兄貴を想って泣いて泣いて行き着いたのは、純粋に大野さんの笑顔が、見たいという事実だった。
勉強を教えてもらおうと、無理矢理お願いしてLINEのIDをゲットしたのはついこの間。
大野さんは、俺勉強苦手だよ?と、戸惑った顔をしてたけど………こんなの、言ったもん勝ちみたいなとこあるし。
呼び出す理由にしては正当だよね。
……急だけど。ちょっと誘ってみようかな。
日曜日なんて、みんな何かしら予定いれてるだろうから、断られても、いいや。
ダメでもともとだし。
すでに真夜中も深いから、明日の朝にLINEしてみよう。
そう思った俺は、そのままベッドに横になった。
『今日あいてますか』
次の日、俺は、大野さんのIDを登録し、まっさらなトーク画面に一言だけ打ちこんだ。