第2章 本編 幸せの青いルフ
*メローザ目線*
戦いながらも防御をしない私を、彼はじっと見ていた。
そして、すべてを理解したような顔をした。
彼は、攻撃をするけれど、避けるのをやめていた。
そんな、避けてよ・・・!
お願い、私を殺してよ・・・・・・貴方を殺したくないの。
私たちは全てを理解した。
二人一緒には、幸せになれないのだと。
すべてを諦め、動きまでも止めようとした時―――――――――
私たちの目の前を、一羽の青い鳥が飛んでいった。
空より深く、海より浅い色で、キラキラと光り輝いていた。
私は、おばあちゃんに聞いた話を思い出た。
『空を舞うキラキラした鳥様はね・・・”ルフ”というのさ。
生命に宿り、司るものなんだよ。
でもその中にはね、青いルフもいるんだ。幸運の青いルフだよ。
それを見た者には、幸せが訪れるという話さ。信じるか信じないかは、お前さん次第だけどね・・・』
彼も驚いた顔をしていたから、見たのだろう。
周りを見ても、すました顔をした大人たちがいるだけ。
驚いた顔をした人はいない。
見たのは、私たちだけなんだ。
「・・・知ってるかい?あの青い”ルフ”は、幸運の象徴とされていて、見た者に幸せをもたらすらしいんだ」
ロクトが唐突に言った。
「ええ、知っているわ。ということは、私たち・・・」
幸せに、なれるってこと?
「幸せに、なれるんだ」
私たちの暗い心に、暖かな光が差し込んだ。
嬉しかった。私たち、幸せになれるのね。
でも、きっとこのままでは無理だ。何か、幸せになれる道があるってこと・・・?
「この闘技場のルールは、『どちらかが死ぬまで闘い続けなければならない』だったよな」
ロクトの言葉で、私にはやっとわかった。
二人で幸せになる方法が。