第11章 蜜月
ギュッと包帯の端を結び終えたすずらんの手に、戯れるように指を絡める。
「……許す」
ふふっと2人で微笑みあって、そっと優しく抱きしめ合った。
豪勢な夕飯を終え、ゆったりと過ごしたあと、奥の間に仲居さんが整えてくれたふとんに入る。
2枚の布団がピッタリとひっつけて敷かれていて、妙に照れてしまう。
オレンジの豆球だけを付けた部屋の中、向かい合うように寝転がると、ふわ…とすずらんが可愛いあくびをもらす。
「疲れた?」
今日は朝からずっと動いてたし、途中襲われたりもして、かなり体力を消耗しているだろう。
静かな声で尋ねると、すずらんが優しい笑みを浮かべ答える。
「うん。少し…。
でも、せっかくの新婚旅行だし、もっといっぱいカカシといたい…」
そう言いながらもすずらんの目はトロンとして、今にも眠ってしまいそうだ。
「…カカシ、そっちのお布団行ってもいい?」
「ん、おいで」
枕ごと布団の端に寄ってすずらんの入れるスペースを空けてやると、すずらんがピタリとひっついて、オレの横に寝転がる。
やわらかな体にそっと手を回し、抱きしめ背を撫でてやると、気持ちよさそうにすずらんが瞳を閉じた。
「カカシ…」
今にも消えてしまいそうな掠れた声ですずらんがオレの名を呼ぶ。
「ん?何?」
「…だいすきだ…よ…」
何秒もしないうちに、すー、すー、とすずらんから規則正しい寝息が聞こえ出す。
「ふふ、寝つきよすぎ…」
肩が出ないように布団をかけ直してやると、すずらんの頭をそっと撫でる。
「オレも大好きだよ…」
呟いて、おやすみ、と心の中で言うと、すずらんの温かな体温を感じながら、オレも目を閉じた。