• テキストサイズ

きみを想う

第11章 蜜月


ギュッと包帯の端を結び終えたすずらんの手に、戯れるように指を絡める。

「……許す」

ふふっと2人で微笑みあって、そっと優しく抱きしめ合った。



豪勢な夕飯を終え、ゆったりと過ごしたあと、奥の間に仲居さんが整えてくれたふとんに入る。

2枚の布団がピッタリとひっつけて敷かれていて、妙に照れてしまう。

オレンジの豆球だけを付けた部屋の中、向かい合うように寝転がると、ふわ…とすずらんが可愛いあくびをもらす。

「疲れた?」

今日は朝からずっと動いてたし、途中襲われたりもして、かなり体力を消耗しているだろう。
静かな声で尋ねると、すずらんが優しい笑みを浮かべ答える。

「うん。少し…。
でも、せっかくの新婚旅行だし、もっといっぱいカカシといたい…」

そう言いながらもすずらんの目はトロンとして、今にも眠ってしまいそうだ。

「…カカシ、そっちのお布団行ってもいい?」

「ん、おいで」

枕ごと布団の端に寄ってすずらんの入れるスペースを空けてやると、すずらんがピタリとひっついて、オレの横に寝転がる。
やわらかな体にそっと手を回し、抱きしめ背を撫でてやると、気持ちよさそうにすずらんが瞳を閉じた。

「カカシ…」

今にも消えてしまいそうな掠れた声ですずらんがオレの名を呼ぶ。

「ん?何?」

「…だいすきだ…よ…」

何秒もしないうちに、すー、すー、とすずらんから規則正しい寝息が聞こえ出す。

「ふふ、寝つきよすぎ…」

肩が出ないように布団をかけ直してやると、すずらんの頭をそっと撫でる。

「オレも大好きだよ…」

呟いて、おやすみ、と心の中で言うと、すずらんの温かな体温を感じながら、オレも目を閉じた。

/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp