第2章 拝啓、ロボットさんへ【イグゼキュター】
「待って!!仲間だよ!!」
「!!す、すまない…」
中にいたのは機械が一台と前衛オペレーターが一名、保護対象者が一名だった。
「イグゼキュターさん…あー来てくれてよかった…」
「勢力がこちらに傾いています。すぐに退却を」
「了解。ランセット、移動開始だ」
「<了解しました>」
後はこの場からの脱出。そして要人をドクターの所へまで護衛。
全てが順調………ではなかった。
「さくら、怪我を」
「え!?」
彼女の右手の甲からは赤い血が滴り落ちていた。左手で抑えているものの、それは意味を成していないほど次々に溢れている。
「さっき、俺を庇った時か…!すまない、俺が気を付けていれば…!」
「…掠り傷程度だよ」
「馬鹿…!何故言わなかった!?毒でも仕込まれていたら…と、兎に角ランセット、治療を頼む!」
「<かしこまりました。さくら様、こちらへ>」
「うん、ありがとう。ランセットちゃ……ッ!!」
気の抜けた空気に飲まれ、完全に油断していた。
本当は、辺りを警戒するべきだった。
突然見開かれたブラウンの瞳が後ろを見た瞬間に大きく開かれ、血に塗れた右手で掴んだと思えば強く引いたのだ。
まるで、立っていた場所を交換するかのように。
その刹那、聴覚は呻吟する声を捉えた。