第39章 フラット *
俺が生きていく過程で主任との幸せは希望はない。
「ユウさんも、アキさんが好きってことで良いんだよな…」
あの朗らかな印象で失礼だけどヘタレっぽい感じのユウさんが軽蔑したとも到底思えない。
考えられるのは"好意"。
高校生で二人は出会って、友達から親友と呼べる仲になったと牛垣主任は話してくれた。
「俺がユウさんのところ行くのはお門違いだし、俺からアキさんに告げるのが一番なんだろうな…」
自分が大人しく身を引くべきだろうが主任が裏切ったわけではない。
まだ離れたくない。
また、一人になりたくない。
頑張ったら想い続けてくれるだろうけど最後は主任の想いに振り回されることになる。
結果は見えている。
だとしてもなんて言えばいい。
喧嘩するだろうか。
ユウさんのことを聞いていいだろうか。
それとも荷物まとめて行方をくらます。
名案だけど逃げないって決めたからそれは無し。
それ以外の方法は…。
「ただいま~」
「お…かえりなさいっ!」
「ただいま。あれ?今日湊の当番じゃ…」
主任に言われてハッとする。
定時で帰ってきた主任はキッチンに目を向けており、考え事をしていたせいで夕飯の支度をすっかり忘れていた。
「あ゛、すみません!!今から作ります。ホントすみません」
「そんなに謝るな。スーツから着替えたら俺も手伝う。その方が効率がいい」
「す、すみません…」
「だから謝るなって。次謝ったら尻の穴に手ぇ突っ込むからな」
「うっ…」
性的なことを言われて反応する体。
もう駄目だ。
とにかく覚悟を決めたんだから触られちゃいけない。
うやむやな状態だからこそ、これ以上、流されては駄目なのだ。