第35章 美容院
土曜日の昼過ぎ。
指定された■■区■■前にやって来た。
人がメチャクチャ多い。
「はぁ…」
人の多さに吐き気を催してきた。
眩暈のような
耳鳴りのような
不快感もではじめて
ドタキャンして帰りたくなってくる性分発動。
「変わるんだ。
変わらなきゃ……」
対人嫌いもここまでくると病気かもしれない。
だが自覚症状がある分、
いくらか自分はマシなのではと自己解釈する。
モヤモヤしてきた
お腹を擦ろうとしたら
「や」と
太陽よりも眩し過ぎる
爽やか笑顔で
別次元のオーラを放つ主任がやって来た。
(オーラ落とせよ…!!!)
心の中で全力の叫び。
人々は幾度と振り返るが
邪気を払うかのように道が開拓され、
羨望の眼差しを受けながら
此方に向かって歩いてくる男。
待ち合わせをしたのは自分だが
現実なのか恐縮する。
会社でもオーラがあったが
また別の次元。
いくつ次元の引き出しを持っているんだ。
キャップを被っているが
佇まいからオーラを隠し切れていない。
むしろ男前が上がっているような気がする。
スーツのように
パリッと感もないし
スマートカジュアルな着こなし。
全身からいい匂いがする。