第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *

────

──…

波際を並んで歩き、
リードを外した黒い犬が振り返る。





「いい加減、犬の名前教えろよ」


「怒らないか？」


「元カレの名前だとしても怒らない。
俺はそんな器の小さい男じゃない」


「ショーの名前じゃない」


「そうなのか？
だったら余計に気になる」





エリックは犬の頭をわしゃわしゃと
撫で終えると立ち上がり、
突如に走り出した。





「来い！　ケーシィ！」


「ワン！」


「ちょ……っと待て。
俺の名前をモジったのか？」





先を進んだエリックは
聞こえていたように
フッ…と明るい表情をして微笑む。

綺麗な明るい髪をなびかせて
楽しそうに笑った顔を見せてくれる。





「よかった……」


「なんか言ったか？」


「お前の笑った顔が好きだって言ったんだよ！」


「ああ…、俺もだ。
誰よりもお前の笑顔を愛してる」


「あ、待てっ…！
逃げんなよっ」


「愛してるなら追い付いてみせろ」


「かけっこ勝負か？
負けたら大声で恥ずかしいこと
言わせてやるからな！」


「That's great！」





長い砂浜に残る二つの軌跡。

横には青い青しい海。

どこまでも続くように
二人の未来を明るく照らしていた。










----------
𝐅𝐢𝐧.
----------



𝗗𝗶𝗿𝗲𝗰𝘁𝗲𝗱 𝗯𝘆
　𝘙𝘰𝘣𝘪𝘯 𝘖𝘴𝘣𝘰𝘳𝘯𝘦

　◇
　◇
　◇
　◇
　◇
　◇
　◇
　◇
　◇

𝗖𝗮𝘀𝘁
　𝘈𝘬𝘪𝘩𝘪𝘬𝘰 𝘜𝘴𝘪𝘨𝘢𝘬𝘪

　𝘖𝘳𝘱𝘩𝘦𝘦 𝘈𝘶𝘣𝘳𝘦𝘺

　◇
　◇
　◇