第23章 殺意の目
「…!」
一人用のシャワールームの白い壁には、血の跡がべったりと付いていた。
その跡は鮮やかな弧を描いて何かを描き記している。
「ドクターによると、おそらくレイリィは命が尽きる間際にその絵を描いたんだと。
「私の見間違いじゃなければ…これは、左から順に"炎""氷""雷"を描いてる?」
まるで火が天に上るような躍動感ある絵。天井から垂れ下がった氷柱の絵。雲から落ちる雷の絵。
明らかに3種の属性を操れる私の源石術を指すものだ。
「…これを見て、あの叫んでいた男性は私のせいだと…」
「聞いた所、さくらに交際を断られたと20時頃にレイリィ本人から聞いたそうで、それも要因の一つだろうね。でも、本来さくらを指すんだろうこの絵はおかしい」
「…うん」
その絵は確かに私を示す。だが、その絵はその上から大きなバツ印で消されているのだ。
「誰かが後から描いた?」
「いや、血の乾き具合からその時に一緒に描いたものだと」
「レイリィは…私じゃないって言いたかった…?」
首を傾げてその絵をじっと見る。
こんな大量の血なんかじっと見たことが無かったため恐怖を感じたが、怖気づいているわけにはいかない。