第17章 刀鍛冶の里-強襲
未だにユラユラと揺れている玉壺を冷たい瞳で見ながら、後ろにいる鉄穴森に声をかける。
『…鉄穴森さん。』
鉄「は、はい!!」
『鋼鐵塚さんのところへ先に行っていてください。』
鉄「え、」
杏の言葉に困惑する鉄穴森に構わず、杏は言葉を続ける。
『これも持って行ってください。
副作用を抑えるための薬だから痣がでたらすぐに飲むよう、無一郎くんに伝えてください。』
鉄「し、しかし…」
『無一郎くんのこと、お願いします。
彼は誤解されやすいけれど、優しく、責任感の強い人です。どうか私の代わりに、お願いします。』
杏を置いていくことに躊躇う鉄穴森に羽織の袂に入れていた時透の分の薬の瓶を放る。
警戒しているため、玉壺から視線をはなさない。
『サクラ、鉄穴森さんについていってあげて。』
サ「…ワカッタワ。」
杏からの指示に気が進まない様子を見せつつも、従うサクラ。
サ「ホラ、早ク行クワヨ!!」
固まってしまっている鉄穴森を突っつくサクラ。
鉄「お、音白殿…!!」
『私は大丈夫ですから。急いでください。』
サクラの勢いに押される鉄穴森。