第45章 繋がる記憶
それから、父さんの言葉。
“正しい呼吸ができれば、炭治郎もずっと舞える”
父さんは、夜明けまでヒノカミ神楽を舞っていた。
ずっと。
そして今。
無惨の体の造りを見て確信した。
恐らく12の型は“繰り返すこと”で円環を成し、13個めの型になる。
無惨の攻撃をくぐり抜け、脳と心臓を斬り続けるんだ。
夜明けまで。
12の型は“円舞”と“炎舞”で全て繋がる。
途方もない。
きっと俺は地獄を見るだろう。
縁壱さんや父さんの様な才覚は俺にはない。
それどころか、命が夜明けまで持つか分からない。
更に、無惨の逃亡をどう阻止するか。
自信を失う理由がよく分かる。
縁壱さんですら出来なかった事が自分に出来るのだろうか。
それでも俺は今自分に出来る事を精一杯やる。
心を燃やせ。
負けるな。
折れるな。
──カチャッ
今まで繋ぎ繋がれてきた想いを胸に炭治郎は無惨へ向かって走り出した。
もちろん、向かって来る炭治郎を薙ぎ払おうと無惨も攻撃を開始した。
──ヒュカッ
そんな無惨の目に映る炭治郎の姿が縁壱の姿と重なる。