第43章 きっといつか
無惨が素早く猫を斬り裂く。
──ドシャッ
杏(!?ちがう、じゃああの猫はこちら側ってこと??)
抵抗する事はなく、そのまま手応え無い程に地面へ落ちる猫の肢体。
その姿に杏の頭の中はさらに混乱していた。
鬼(なんだ、こいつは…。)
そう思った無惨は、その後すぐ。
この猫が誰から向けられた猫なのかを知る。
──ズズッ
不「おおっ!?」
無惨の血の毒が回り始め、あちこち腫れ上がっていた部分が、スゥッと引き始めた。
杏(症状が和らいでいる!!ということはあの猫が打ったのは奴の毒に対する薬!!)
これには不死川も思わずニィッと口角を上げた。
不「何か知らんが、通りすがりの猫に助けられたぜェ!!」
この不思議な現象は、不死川だけではない。
悲(脈の狂いや体の激痛が格段に収まった。理由は不明だが何という僥倖。恐らく一時的な症状の緩和だろうが、これでまた戦い続けることができる!!)
先ほどまで虫の息だった柱たちの圧倒的な回復。
これには無惨も苛立ちを募らせた。
鬼「またあの女…珠世の差し金か。私の細胞破壊を止める血清のようなものまで…。」
どこまでも、弊害となる珠世の存在。
鬼(死んでなお、癪に障る女だ。)
無惨はその苛立ちを目の前の弊害である柱たちへ向けた。