第1章 全話共通プロローグ!
どこから来たのかと尋ねられ、ヒカルと監督生はそれぞれの故郷を口にした。
やはりクロウリーは日本を知らず、様々な文献を漁ってみても帰る方法はわからず仕舞い。
「これほど探してもわからないということは、あなたたちは別の惑星、あるいは異世界から招集された可能性が出てきましたね。」
「え、異世界!?」
と、驚いたのは監督生。
ヒカルの意見としては、「そうです、異世界から来ました」というところ。
「見たところ、持ち物もないようですし、困りましたねぇ。魔法を使えない者を学園に置いておくわけにはいきませんし、かといって無一文の若者を放り出すのは教育者として胸が痛む。……私、優しいので。」
ツイステッドワンダーランドの世界では、魔法は当たり前に存在する。
トリップや転生でよくあるのはチート設定だが、監督生と同じく魔力ゼロ判定を受けてしまったヒカルは、その恩恵にあやかれなかったらしい。
もしヒカルにチートな能力があったのなら、圧倒的な力で寮生たちを捻じ伏せて、残らず侍らせてやったものを。
「……あ、そうだ! いい考えがあります。学園内に今は使われていない寮があるので、そこを掃除して寝泊まりすればいいでしょう!」
「え、でも、使われていないってことは、そうとう古いんですよね?」
「雨風を凌ぐくらいはできますよ。その間に私はあなたたちが元の世界に帰る方法を探してあげますので! あ~、なんて優しいんでしょう、私!」
「……。」
ちらり、と監督生がこちらに視線を寄越した。
「どうする?」と言いたげな視線だけど、選ぶ余地なんかないってことは彼女にもわかっているはず。
「では、善は急げです。早速寮へ向かいましょう!」