第5章 ①明治トリップ女子、最強の狙撃手に溺愛される【R15】
囲炉裏の火がぱち、と鳴った。
「和栗さん、その縫い目はこうだ」
杉本佐一は穏やかに笑い、和栗の手をそっと支える。
ほつれた服をするすると針で縫っていく。
「わ、杉本君、器用なんですね。すごいです」
「いやぁ、昔から自分でやってたから嫌でも慣れただけだよ」
今日泊まるのはこの空き家。
珍しく屋根がある環境で寝れる。
実はこの間、和栗は突然明治にトリップしてきた。
しかも最終巻まで読んだあの漫画。
何回も2次創作で見てきた金カムのトリップである。
初めに会ったのは尾形、そして合流してきた杉本。
アシリパさんと白石、谷垣さんは私が来た瞬間に弾けるように消えたらしい。
定かでないが、私が来た衝撃で時空が歪んじゃったらしく、
今は3人を探しながら目的に向かっている。
けど、漫画でどのシーンかさっぱり分からないのだ。
もしかして分岐ルート入った?謎である。
ともかくこの話しはまた今度。
杉本に教えてもらいながら繕っている光景を、少し離れた場所から尾形は見ていた。
無表情。
だが視線だけが鋭い。
「尾形さん?」
和栗が振り向く。
「……杉本、手が近い」
淡々とした声。
「え?」
杉本はきょとんとする。
「いや、教えてるだけだろ?」
「教えるのに指を絡める必要はない」
空気が凍る。
杉本の目がすっと細まる。
戦場で見せるそれと同じ光。
「お前には関係ないだろ」
「ある」
即答。
尾形は立ち上がり、静かに歩み寄る。
「それは俺のだ」
和栗の頬が一瞬で熱を持つ。
のと同時に一瞬即発になりそうでギョっともする。
「ちょ、ちょっと尾形さん…!」
杉本は数秒、尾形を見つめ――ふっと笑った。
「オモチャ取られたみてぇな顔すんなよ。それに和栗さんは物じゃないだろ」
火花が散る寸前の緊張が、すっと解ける。
めいは慌てて尾形の袖を掴む。
「尾形さん、怒ってるんですか?」
「怒っていない」
即答。しかし。
「……ただ、気に入らん」
低い声。
「お前が他の男に笑うのが」
息が止まる。
「尾形さんの前でしか、あんなふうに笑いませんよ?」
沈黙。
「あ、あのほら、尾形さんと杉本君がいる安心感からって意味ですよ?!」
数秒後、尾形はそっとめいの顎を上げる。
「なら証明しろ」