第3章 席替え
ガッチャ
5月下旬。暑さがだんだん目立つようになってくる時期。
暑さにぐったりした人がドアの前に立っていた。
「おはよーにの」
「おはよー」
特にこれといった話はしてなかったんだけど、
改札口を出たところで、にのに言いたいことを思い出した…
「聞いてよ!にの!」
「何よ?暑苦しーな」
「席替えしたら、俺と櫻井だけ席変わんなかったんだよ(涙)」
そう。昨日、中間テストが終わってからの恒例の席替えがあったんだ。
これまでの席はほんとに地獄だった。
前にいる櫻井がすぐ後ろを向いてきて、
休み時間はお昼寝タイムを邪魔され
授業中は勉強についていくのに必死な俺をにやにやしながら見つめてくる。
容姿に加え、学年トップの成績を誇る櫻井は後ろを向くぐらいでは怒られない。
それがまた腹立たしいんだよ!
俺なんか、ちょっとグランドのぞいてたら、すぐ注意されるんだから…
そんなこともあり、1回目の席替えからずっと待ちわびてた席替えに大喜びした俺だったが、
5分後、感情が180°変わってしまった…
「いやー。うれしーなー。智くんとまた一緒なんて」
「うれしかねーよ…」
夏休みまでの2カ月間。
櫻井との戦いがまた続く…