第2章 踏み出せ第1歩
試験が終わった後、同じ班の受験者の大半が超巨大ロボットを倒した彼の話をしていた。
『まぁ、その気持ちもわからなくもないけどね』
彼は凄かった。
大抵の人は個性のことを言うだろうがそうじゃない。彼は目の前で倒れていた女の子を助けるために自分を犠牲にしてまで飛び出したのだ。それは当たり前だと言う人もいるかもしれない。しかしあの中であの女の子を助けようと誰よりも早く飛び出したのは彼だ。それはヒーローになるにあたってとても大事な事だと私は思う。
「あ、あの!!」
そして試験会場から帰る準備をしていた時、先程の試験で同じ班だった女の子が後ろから声をかけてきた。振り返り彼女の顔をよく見ると瓦礫の下敷きなっていた子だった。
「私、麗日お茶子って言います!さっきは無茶なお願い聞いてくれてありがとう!あとお見苦しいものをお見せしてしまい申し訳ない…」
『あ、さっきの。ううん、全然気にしてないよ』
女の子は麗日お茶子さんと言うとても名前に似合った可愛らしい女の子だった。麗日さんは先程の事をわざわざ謝りにきたそうだ。
「それなら良かった…そ、それで無茶なお願いをした後でまた無茶なお願いをしてしまうんやけど…」
そう言いながら麗日さんは申し訳なさそうな顔をして少し言葉を詰まらせた。
『無茶なお願い?』
私は言葉を詰まらせる麗日さんに首をコテンと傾けながら彼女の話を聞いた。
「私と一緒に直談判しに行きませんか!!」
『えっ…?!』
私は麗日さんの突然の発言に目を見開く。そして返事に戸惑いポカーンとしていると
「あっ!いや!その、さっきのもさもさの人のことで直談判をしに行こうと」
『そういう事ね…!』
麗日さんは自分の言葉足らずな発言に気が付き先程の発言に話を付け加えた。私もその話を聞いてホッと胸を撫で下ろす。
「だ、ダメかな…?」
『大丈夫だよ、それに私もね行こうと思ってたの。でも言い回しが直球過ぎて驚いちゃった』
「そ、それはちょっと、テンパってたと言うかなんと言うか…」
『いいよ、いいよ!自己紹介が遅れたね。私は八百万言。宜しくね麗日お茶子さん』