第44章 ホークス オリジン
「お疲れ様でした」
そう言うと色々な場所から“おつかれ”と言う言葉が帰ってくる
姿は見えないのだけど、それでも返事を返してくれる事が嬉しかった。
けど
嬉しくないことが一つある。
更衣室に入り名前が貼られロッカーの扉を開けば制服ではなく
雄英の体操服
だ、昨日のホークスとの事情で制服は汚れてしまい
“どうにかする”
と言っていたホークスも
朝に
「ホークス、私なに着ればいいの?」
「これこれ!」
そう言って差し出されてたのはホークスのオフィシャルTシャツだった。背中の穴は開いておらず受け取り羽織れば彼シャツが出来るとホークスは思っていたらしい
「…ねぇ、丈足りてない…ちょっと前屈みになったらパンツ見えちゃう」
「…これは…オレの位置からだと最高の丈だけど…流石に…」
これを身につけてズボンもなく外に出たら間違いなく痴女扱いをされてしまう。
乾いた笑いしか出てこなかった
「他にはッ…」
「あ」
焦ってホークスに声をかければ、思い出したようにクローゼットからワンピースが差し出された。一眼見てホークスの家に泊まったであろう女性の忘れ物と気がついて
「絶対、着ないから…」
そう言って雄英のジャージを身につけた
ホークスは今日は関東で仕事だったので入り口で分かれた。
「行ってきますのキスしてよ」
「いや。バイバイ」
ジャージで通勤をする羽目になった事に不満な顔をしてホークスと別れる。
ホークスの甘い誘いにもワンピースの事を考えると優しく出来なかった。
行き交う人に見られているような視線を感じながら事務所まで足を進めたのだった。
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「はぁ…せっかくホークスの家に帰るのに全然可愛くないや」
そう言いながらまた、ホークスの家までの道を歩いた…
結局、ホークスの元に帰るのは
どんな事があっても
“彼”
が良かったからだった
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