【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
背中に何かが触れて、私は身を硬くする。
ユウ
「…………あれ?」
薔薇の木に串刺しにされると、覚悟してた痛みが……まったく無い。
リドル
「!?これは……」
エース
「……あ、れ?生きてる?」
エースと私は、恐る恐る顔を上げた。
エース
「なんだこれ、トランプ?」
ユウ
「!?」
エースの腕から離れて、私は周囲をキョロキョロと見回す。
私達の周りからは、リドル寮長が操ってた薔薇の木全てが消えていて、代わりに無数のトランプが舞っていた。
え……なにが起こってるの!?
デュース
「薔薇の木がトランプに変わった!これは……」
トレイ
「リドル、もうやめろ!」
トレイ先輩が、リドル寮長の前に立つ。
ケイト
「トレイの『ドゥードゥル・スート』!?えっ……どういうこと?」
このトランプは、トレイ先輩の魔法……?
グリム
「魔法封じの首輪が外れたんだゾ!」
ユウ
「え!?」
グリムの言葉を聞いて、私はエースとデュースに目を向けた。
2人の首からも、魔法封じの首輪がなくなってる!
トレイ
「言っただろ。俺の『ドゥードゥル・スート』は、少しの間ならどんな要素も上書きすることができる。だから……“リドルの魔法”を“俺の魔法”で上書きした」
ユウ
「そんなことが!?」
ケイト
「うっそ………そんなんあり!?チートじゃん!」
要素って、魔法そのものも含まれるんだ……
どんな魔法を使っても、上書きされたら意味がない……トレイ先輩のユニーク魔法は、やっぱり凄い魔法だった!
リドル
「く……っ、首をはねろ!首をはねろったら!」
リドル寮長が唱えると、トレイ先輩の首元に光が集まる。
けどそれは、首輪の形をとることはなく……トランプとなって、舞い落ちるだけ。
リドル
「何でトランプしか出てこないんだよぉ!」
トレイ
「リドル、もうやめろ。これ以上は、お前が孤立していくだけだ!みんなの顔を見てみろ!」