【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
エースが、再びリドル寮長の前に立つ。
エース
「おい、お前!何でも自分の思い通りになるはずないだろ!?そうやってすぐ癇癪起こすとこが赤ん坊だっつってんの!」
リドル
「今すぐ撤回しろ!串刺しにされたいのか!」
エースの言葉に、リドル寮長は顔を真っ赤にして激昂する。
その迫力にも、エースは怯まなかった。
エース
「やだね。絶っ対にしねえ」
リドル
「うぎいいいいいい!!!!!!」
ユウ
「!ひ……」
空気が痺れるような感覚がして、私は思わず身震いする。
なに、この感覚……!?
ケイト
「ガチでヤバいって!お前ら逃げろ!」
ケイト先輩の、悲鳴に似た声が聞こえた。
◇◆◇◆◇◆
太陽はまだ沈んでいないのに、辺りが急に薄暗くなる。
まるで、薔薇の迷路を覆う空気が、暗く濁ってしまったかのようだった。
グリム
「うわわ……庭中のバラの木が全部浮き上がっていくんだゾ……!」
ユウ
「あ、あ……」
赤く塗られた薔薇の木が、強制的に地面から引き抜かれ、リドル寮長の元へと集まっていく。
これも魔法……!?
デュース
「なんて大がかりな魔法なんだ!まさか、アレ全部で突っ込んでくる気か!?」
リドル寮長の目は、真っ直ぐエースを睨んでいた。
リドル
「薔薇の木よ、あいつの身体をバラバラにしてしまえーーー!!!」
浮かび上がった薔薇の木が、一斉にエース目掛けて飛んで行く。
クロウリー
「いけない!避けなさい!」
このままじゃエースが!!
ユウ
「早く逃げ──」
逃げるには、間に合わない。
ユウ
「エースッ!!!」
私は、地面を蹴って、エースの前に飛び出した。
「「「「「!?」」」」」
私なんかじゃ、薔薇の木を止めることも、エースを守ることも、出来やしない。
そうわかっていても、咄嗟に体が動いていた。
ヤバい、この後どうすればいいか考えてなかった!
エース
「──ユウ!!!」
後ろから、エースに腕を掴まれ、私の体は引き戻される。
そのまま、エースの腕に抱き込まれた。
私達の背に、薔薇の木が迫りくる。
エース/ユウ
「………ッ!!」
私は、痛みを覚悟してギュッと目を閉じた。