【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
殴られた勢いに負けて尻餅をついたリドル寮長は、自身の頬を押さえながら戸惑った様子でいた。
そりゃいきなり殴られたら、呆然としたくもなるよね。
エース
「子どもは親のトロフィーじゃねーし、子どものデキが親の価値を決めるわけでもないでしょ。お前がそんなクソ野郎なのは、親のせいでもなんでもねーって、たった今よ〜くわかったわ!」
エースが、リドル寮長を真っ直ぐに指差す。
エース
「この学園に来てから1年、お前の横暴さを注意してくれるダチの1人も作れなかった、てめーのせいだ!」
ユウ
「エース……」
リドル
「何……を、言ってるんだ?」
立ち上がったリドル寮長が、エースを睨みつける。
エース
「そりゃお前は、ガッチガチの教育ママにエグい育て方されたかもしんないけどさ。ママ、ママってそればっかかよ!自分では何も考えてねーじゃん!」
ユウ
「……!」
私は、私がリドル寮長に言った言葉を思い出した。
『貴方の理性が何を訴えても、ハートの女王の法律が邪魔をする』
私が、リドル寮長を気持ち悪いと感じたのは……
リドル寮長が、自分の意思がないような言動ばかりするから。
『ボクだって、やりたくて首をはねてるわけじゃない』
だから、気持ち悪いと感じたんだ。
エース
「何が赤き支配者だ!お前は魔法が強いだけの、ただの赤ちゃんだ!」
ユウ
「赤ちゃんて!」
考えに浸ってた私は、エースの言葉にツッコまざるを得ず、現実に引き戻された。
リドル
「赤ちゃん……だって?このボクが?」
ワナワナと、リドル寮長が怒りに震える。
ええええ、今ので怒る?聞き流せばいいのに……
リドル
「何も知らないくせに……ボクのこと何も知らないくせに!」
ひどく頭に血が上った様子のリドル寮長を見て、私の荒ぶってた心は逆に落ち着きを取り戻していた。
エース
「あ〜、知らないね。知るわけねぇだろ!あんな態度でわかると思うか?甘えてんじゃねーよ!」
リドル
「うるさい、うるさい、うるさい!!黙れ!!お母様は正しいんだ!だからボクも絶対に正しいんだ!!」
リドル寮長の言葉は、まるで自分に言い聞かせているように聞こえた。
トレイ先輩達が、こちらに近づいてくる。