銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第8章 ブラックトリガー争奪戦
「どうもみなさん。お揃いで、会議中すみませんね。」
『失礼します。うわぁ。おもーい雰囲気ぃ。』
緊迫した空気を割るように迅と海影が会議室に入ってくる。
それを見てその場の城戸以外の全員が鳩が豆鉄砲食らったように目を丸くしていた。
「何の用件だ迅、海影。宣戦布告でもしに来たか」
『違いますよ。城戸さん。迅は交渉しに来たんだ。』
「交渉だと!?裏切ってきながら!」
海影の発言に鬼怒田は怒りを抑えきれず、机をばんっ!と叩く。
「こちらの要求はひとつうちの後輩、空閑遊真のボーダー入隊を認めていただきたい。」
「何ぃ?どういうことだ!?」
会議室に居た全員の混乱した様子で迅を見ると迅は訳を話す。
「太刀川さんが言うには、本部が認めないと入隊した事にならないらしいんだよね。」
「なるほど...≪模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる≫か」
「ボーダーの規則を盾にとってネイバーを庇うつもりかね!?」
迅の言葉の意図を汲んだ唐沢と根付は反応する。
「私がそんな要求を飲むと思うか?」
「もちろんタダでとは言わないよ。」
ゴトン。机に何かが置かれる音がして、その場に居た全員が迅の手元を観た瞬間驚愕した。
そこに置いてあったのは風刃だった。
「かわりにこっちは[ 風刃 ]を出す」
『迅!?』
「うちの後輩の入隊と引き換えに[ 風刃 ]を本部に渡すよ。」
「本気か!?迅!」
こいつ狂ったか?と言う顔で鬼怒田は迅を見る。
「そっちにとっても悪くない取引だと思うけど。」
動揺する周りを差し置いて迅はどんどん話を進めていく。
そんな状況の中、不安を覚えた海影は迅の袖をソッと掴んだ。
表情は変わりなかったが、心なしかその手は震えている。
「取引だと?」
城戸の視線が鋭くなり、張り付いた笑顔を浮かべる迅と海影を睨む。
「そんなことをせずとも私は太刀川たちとの規定外戦闘を理由におまえ達からトリガーを取り上げることもできるんだぞ? 」
『ねぇ。その場合は太刀川さんたちもだよね?それはそれで好都合だよ。』
「没収するのはおまえ達のだけだ。と言ったら?」
城戸の問いかけに迅の笑みが消え、城戸を睨むように目を鋭くする。
「試してみなよ。そんな話が通るかどうか。」
「『さぁ。どうする?城戸さん。』」