第9章 善意の横槍
空港のロビーで、零くんを探す。金色の頭の男性は……いたいた。彼もこっちに気付いてるみたいで、手を軽く上げて微笑んでる。水野先生を置いて少し早歩きでそっちへ向かう。
「おかえり」
「零くんー!ただいま!」
目の前まで来るといきなり抱き締められる……人目もはばからず荷物から手を離して、私も零くんの背中に腕を回した。
後ろ頭と背中を撫でてくる手が物凄く心地良い。ほんの数日離れてただけなのに、懐かしい気すらする。
「ニュース見たぞ。犯人捕まったんだろ?頑張ったな」
「そうなのー!良かったよ、ほんとに」
身体を離してしばし見つめ合っていると先生もようやくやって来た。
「水野先生も、お疲れ様でした」
「俺は疲れとらんがはよくやったぞ。じゃ、俺は一人で帰るから後はごゆっくりなー。二人とも、また明日」
「はーい!」
「ええ。明日はよろしくお願いします」
しばらく先生の背中を無言で見つめていた。
「じゃあ僕らも行こうか。それ貸して」
「いいよ、別に重くないし」
断ったつもりだったけど、スーツケースも鞄もひょいと零くんに取られてしまい、急に手ぶらになった。何も持たずに外を歩くことって無いから変な感じ。
赤井さんもそうだったけど、こういうことをサラっと自然にこなせる零くんも、やっぱりイイ男なんだろう。
車に荷物を乗せて、いよいよ我が家に向かう訳だけど……本当にウチの中、見せても大丈夫な状態だったっけ……?