第7章 匂いに酔う【竈門 炭治郎】
炭治郎のせいだとはいえ、風呂場で気を失ってから今まで世話をかけたのが申し訳ないのと同時に女として不甲斐ない…というか面目ないというか…
色々な複雑な思いで美桜は炭治郎の背中に抱きついた
「ごめんなさい…」
身長は同じ位なので、抱きつくと自然と口元は炭治郎の耳に触れた
「私が…炭治郎くんのご飯作りたかった…こんなぼさぼさな私じゃなくて、ちゃんと綺麗にして…おはようって起こしたかった」
ふふふっ…美桜さんから恥ずかしがってる匂いがする
いつもの美桜の匂いと恥じらう匂い…それに一晩中抱きしめて眠っていたから炭治郎の残り香がまじり鼻をくすぐる
顔を横に向けると、日の光りにキラキラと輝く琥珀色の髪に目が眩む
そのまま頬にチュッと口付けて炭治郎は笑った
「大丈夫だよ明日も俺は居るから明日は美桜さんに起こしてもらうよ
ほら早く顔を洗って!髪は俺がとくからね、今日のご飯は凄く美味しく炊けたんだ」
恋仲になったからなのか、以前炭治郎が遊びに来ていた時よりも家の中が明るく感じて美桜も笑顔になる
キラキラした翡翠色の瞳が炭治郎を見る、そんな美桜が眩しくで自分を「好き」だと言ってくれた事にまだ夢の中にいるような気分になった
でも、美桜の首に残っている炭治郎が散らした赤い痣を見ては夢ではない事に密かに喜んでいた
炭治郎の炊いたご飯は本当に美味しくて、美桜は野菜のお浸しと甘い玉子焼きと味噌汁で2杯も食べてしまった
昨晩の運動量を考えるといつもよりはお腹は空いていたのだろう
食後の熱いお茶は美桜が入れて炭治郎の前に置いた
「その服…蝶屋敷の病衣だよね?」
「あぁ…これ?凄く動きやすくて丈夫だから、しのぶさんに頼んで2枚借りてきちゃった。薬草の世話とか手伝うし…隊服でもいいけどこっちの方が着やすいんだ」
そっか…そういえば蝶屋敷で入院中に訓練してる隊士の人はこの服着てた
「美桜さん、今日の予定は?」
2人で洗い物を片付けながら炭治郎が聞いてきた
「昨日しのぶちゃんに頼まれた高原にある薬草を採ってから麓の薬草畑の手入れと水やりかな…あっ傷薬用の薬草も足りなくなってる…鎮痛薬のも採って乾燥させないといけないなぁ…」
手を拭いて、注文書と在庫管理のメモを見て美桜は今日の段取りを考える