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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第25章 【夢であれば】


「夢は――あまり見ません」
「……そうか、それならそれで結構」

 そういった時のダンブルドアのブルーの瞳が、全てを見透かすように煌めいた。
 この瞬間、クリスは全て悟られたと直感して途端に居心地が悪くなった。心臓が煩いくらいドクンドクンと音を立てて聞こえる。
 ハリーが夢を見た事と、ダンブルドアの問いかけは何か関連があるのだろうか。

 1秒が1分にすら思える長い時間待ち続けると、やっとマクゴナガル先生がフレッドとジョージ、それにジニーを連れて校長室に現れた。
 3人とも寝間着姿で、眠そうな顔をして、何故真夜中に校長室に呼ばれたのか分かっていない様子だった。

「お待たせいたしました、ダンブルドア先生」
「ふむ、それでは出かける準備をしよう。――と、その前に……フィニアス、フィニアス!!」

 眠ったふりをする肖像画達の中で、尖ったヤギ髭の小賢しそうな初老の男がピクッと肩を震わせたが、そのまま眠ったふりを続けた。
 ダンブルドアが何度もしつこく「フィニアス!」と名前を呼ぶと、流石に無視できなくなり、ヤギ髭の男は芝居がかったあくびをして目を開けた。

「ふぁ~……何か用かね?ダンブルドア」
「お休みのところ申し訳ないが、フィニアス、貴方の別の肖像画をもう1度訪ねてくれんかね?」
「別の肖像画?いやいやダンブルドア、悪いが今夜は勘弁してくれないか?再三にわたりあちこち飛び回っている所為でとても疲れている」

 フィニアスと呼ばれたヤギ髭の男は、そう言ってまた瞳を閉じて寝ようとした。それを見た隣の肖像画の男が、顔を真っ赤にして怒った。

「何たる態度!フィニアス!!貴方は責任を放棄している!!」
「そうだ、そうだ!!我々は現職の校長に使えるという任務がある!!」
「ああ、分かった分かった」

 もう眠ったふりをしている肖像画は無かった。全員が起きて、フィニアスの態度に文句を言っている。大勢の肖像画達に責められ、フィニアスは大きくため息を吐いてみせた。

「しかし、もうあれが私の肖像画を処分してしまったかもしれんぞ?何しろあれにとって私は――」
「シリウスは貴方の肖像画を処分するほど愚かではない」
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