第25章 【夢であれば】
「エバラードが状況を確認するまで数分かかるだろう。済まぬが少し待っていてくれぬか?」
ダンブルドアは杖を振ると、ゆったりした肘掛け椅子が4脚現れた。
それから不死鳥のフォークスの所に行き「見張りを頼まれてくれるか?」と言って羽根をなでると、フォークスは炎と一緒に燃え上がり姿を消した。
クリスには何が起こっているのかチンプンカンプンだったが、取りあえず肘掛け椅子に座って時が過ぎるのを待った。
ハリーはウィーズリーおじさんが襲われたのを見たといったが、現実にそんな事が起こりえるのだろうか……。
チラリとハリーに目をやると、ハリーはジッとダンブルドアを見つめている。今度はロンの方を見ると、何かを祈るように手を組み俯いたままだ。
まるで魔法がかかったかのように1秒1秒がゆっくり進み、やっとエバラードと呼ばれた魔法使いが戻って来た時は、思わず全員が腰を上げた。
「どうじゃった?」
「良くないですよ、ダンブルドア。大怪我だ。至急病院に駆け込まれたみたいだが、後の事はディリスに任せた方が良いでしょう」
「分かった、ありがとう。ディリス!貴女の力をお貸し願いたい!!」
今度は銀色の巻き髪の魔女がパッと目を覚まし、ダンブルドアと二言三言会話を交わすと、エバラードの時と同様に歴代校長が描かれた肖像画から姿を消した。
「エバラードとディリスは歴代校長の中でも特に有名での。自分の肖像画ならどこでも行き来することが出来る。さて……ディリスが戻ってくる前に、ウィーズリーの子供たちを全員起こしてきてくれぬか?」
「かしこまりました」
マクゴナガル先生はタータンチェックのガウンを翻し、素早く校長室を出て行った。ハリー、ロン、クリスの3人はまた肘掛け椅子に座り直し、誰も口を開こうとしなかった。口を開けば、悪い妄想ばかりが飛び出すような気がしたからだ。
気まずい空気が流れる中、ふとダンブルドアが不思議なことを口にした。
「ところでクリス、君は最近どんな夢を見ているのかね?」
「……え?夢、ですか?」
クリスは戸惑った。悪夢を見るのが嫌で、夢を見ない様に毎日ギリギリ限界まで起きているとは言いづらかった。