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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第13章 【PMCS】


 ハーマイオニーは『ルーン文字学』の授業があったので、3人だけで湖のほとりに行った。久しぶりの晴れの日で、風が少し肌寒いが空気が澄んでいて心地よかった。

「あーっ、絶好のクィディッチ日和だ」
「折角いい気分だったのに、嫌なこと言うなハリー」
「ごめん。でも僕もう1カ月以上飛んでないから、体がうずうずしちゃって。早く箒に乗りたいなー!」

 そう言えば、去年は「三大魔法学校対抗試合」があったからクィディッチの試合は丸1年以上していないことになる。
 クリスには分からないが、選手であるハリーにとっては鬱憤もたまっていることだろう。その時、ふとクリスの脳裏にある疑問が浮かび上がった。

「そう言えばロン、監督生になったお祝いに箒を買って貰ったんだろう?どうだ、乗り心地は?」
「あぁ、うん、まあまあ……良い感じ」
「今年はフレッドとジョージも7年生だから、最後の年だろう?その前に是非ともあの2人にはぎゃふんと言わせないとな」
「あははは、クリスもフレッドとジョージには敵わないんだね。僕も――」

 不意に、ハリーが言葉を切った。何を思ったのか、空を眺めたまま目を見開き顔を青くしている。クリスはごく自然に尋ねた。

「どうした?ハリー」
「忘れてた、キーパーの選抜……ウッドが卒業したから、新しいキーパーを決める為に今週の金曜日に選手全員でプレーして選ぶって、アンジェリーナが言ってた。どうしよう、僕、アンブリッジの罰則があるんだった……」

 どう考えても、あのガマガエルが生徒の都合で罰則を許してくれるとは思えない。クリスが「ご愁傷様」と言うと、ハリーは頭を抱えて深いため息を吐いた。

 そして迎えたアンブリッジの罰則の時間。クリスはハリーと一緒にアンブリッジの部屋を訪れた。
 これまでに『闇の魔術に対する防衛術』の教師の部屋には何度か来たことがあったが、これほどまでに悪趣味に飾られた部屋は初めてだった。

 部屋のいたるところはレースやフリルが施された吐き気を催す布で覆われ、壁紙はピンクの花柄。オマケに数えきれないほどあちこちに可愛い子猫の飾り皿が並んでいる。
 クリスはパンジー・パーキンソンの部屋でさえ、こんな悪趣味な部屋に住んではいまいと思った。
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