第13章 【PMCS】
それから4人は今日出された宿題を片付けるために、談話室のテーブルを1つ貸切って悠々とレポート作成に勤しんだ。
暫くはカリカリと羽ペンが羊皮紙を引っかく音が響いていたが、ふとハリーがクリスに向かって話しかけた。
「そう言えばクリス、アンブリッジの罰則の事、覚えてる?」
「頭の片隅にもなかったな」
「明日から、今週いっぱいアンブリッジの部屋で何かされるみたいだよ。僕と一緒に」
「ああ、そりゃ、明日が楽しみだ」
クリスは羊皮紙から目を離さずに答えた。ハッキリ言ってこれ以上不幸になんてなるわけがないのだから、何が待ち構えていたって怖い物なんてない。
再び静かになり、4人は宿題に没頭した。が、その内ハーマイオニーが我慢できなくなって声を上げた。
「もうだめ、ロン!行くわよ!!」
「行くって、どこに?」
「決まってるじゃない!彼方のお兄様達のところよ!」
談話室の隅では、フレッドとジョージが1年生を集めて何かを配っていた。見ると椅子に座った1年生が、ウソみたいにパタッと気を失っているのが分かった。
きっと『ずる休みスナックボックス』の効果を調べているのだろう。そう言えば今朝、ヘンな張り紙で人を集めていた気がする。
ハーマイオニーは鼻息荒く、双子のもとへ行ってしまった。ロンはそれまでダラダラと宿題をしていたのに、急に真面目にレポートをまとめはじめた。
その内ハーマイオニーの怒鳴り声が聞こえてきたが、3人は我関せずと心を無にした。触らぬ神に祟りなし、だ。
暫くして、ハーマイオニーがテーブルに戻って来た。だが5分もしない内に、ハーマイオニーがパタンと教科書を閉じた。あの勉強の鬼がクリス達より先に教科書を閉じるなんて、明日は槍でも降るかもしれない。
「ダメ、集中できないわ。もう寝るわ」
そう言うと、ハーマイオニーは教科書をしまうと見せかけて、カバンから不格好な毛糸の塊と思しきものを取り出し、部屋の隅に羊皮紙と共にそっと置いた。その不可解な行動に、ハリー、ロン、クリスの手が止まった。
「何してるの?」
「屋敷しもべ妖精の帽子よ。これを拾って、自由にさせてあげるの」
「でも、連中は自由なんて望んでないぜ?」
「絶対に望んでいます!!」