3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第3章 昼休憩
女子は甘いものが好き。そんな定説が蔓延る世の中で男子だって甘いものが好きと周囲に認知されるのはまだまだ恥ずかしかしいことなのだろう。女子生徒も見ているなら尚のことだ。
「……へ、へえ。不死川って甘党なんだな……」
「スイーツ男子ってこと?なんか不死川くん可愛い……」
人だかりを成している生徒達までもが好奇の目を向ける。もはやそれは公開処刑に近いと言ってもいい。
「ふざけやがってクソがァァ……」
青筋をピクピクと浮かばせる不死川くんはどす黒い殺気を放っている。冨岡くんは彼が何をそんなに怒っているのかよくわかっていない顔だ。頭から疑問符が何個も飛んでいるのがその証拠である。
「冨岡てめえぶっ殺す!!」
「待て。俺はお前の敵じゃない」
………そういえば以前売店を利用した時、おはぎがあるのを見かけて珍しいと思ったことがある。おばちゃんに聞けば、生徒から熱い要望があって仕入れたんだよと笑っていたが、もしかしてそれは不死川くんのことだったのかな。「おばちゃん、おはぎまだかよォ」と売店を訪れる度に声をかけている不死川くんを想像するとなんだか可愛く思えた。
「………なるほど。すまない不死川、味の問題だったか」
「あァ……?」
「心配ない。念のため抹茶の方も買っておいた。こっちをやろう」
「あああァ!?」
「ブハッ!やめろ冨岡っ!腹が派手に壊れるだろうがっ……!」
「くくっ……我慢だ杏寿郎!お、己の表情筋に打ち勝てっ……!」
腰が落ちてヤンキー座りになりながら額を手で押さえて笑う宇髄くんと、壁に手を突いてもう片方の手を腰に当てながら下を向いて笑う煉獄くん。思春期の男子とは楽しそうなものである。