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愛の囁きを。

第5章 Aiba.





別に声帯に関わる病気とかではない。
過去のトラウマ、というヤツである。



両親の離婚により父に引き取られ、
酒癖の悪い父からの暴力。

キャバ嬢の酷い出入りで
家には居場所がなく。


おまけに父からは邪魔者扱い。


【お前は何もかも母さん似で
 見ていると腹が立つんだ!!
 二度とその面も声も聞かせるな!】


彼女はそれからというもの、
家には帰れず父の言葉により
話すこともできず。



「またこんなところで寝てたの?」


ネットカフェで何とか生活しているみたい。


パソコンでなら文字を打って会話できるし
顔を合わせなくて済む。



『……(こくん)』



「もう。ダメだよ、女の子がこんなところで
 俺ん家においでって言ってるのに。」



『…(いいよ、悪いから。)』



愛里は紙にスラスラ書いて見せた。


話す事のできない彼女なりの唯一の
会話の方法だ。



「いざという時、
 誰も君を守ってやれないんだよ?
 俺なら過去も知ってる。
 少なくとも守る事もできる!
 ほら、俺、空手と柔道習ってるし!」



君を守りたいなんて、
ただの自己満足かな…。


少しでも、君が過去から自由に
なれるなら。



俺はなんだってしたいと、
本気でそう思っているんだ。


























 
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