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千分の一話噺

第247章 歳の差夫婦⑫・謎な鍋


今年ももう立冬、日も短くなって、風も冷たくなってきた。

「ねぇ今日は鍋にしない?」
「もうそんな季節だね
何の鍋にする?」
「今日は私に任せて!
試したいのがあるから楽しみにしてて」
旦那に意見を聞いて決める事が多いけど、今日はネットで見付けた鍋に挑戦する事にした。
「じゃあ、君が鍋の材料を買っている間、僕もちょっと別な買い物してくるよ」
「へぇ~珍しいわね、何かあるの?」
「僕もちょっと試したいのがあるんだ」
お互い何を買うか秘密にして、私達は別々の買い物をする事になった。

買い物を済ませ、家でもお互い何を買ったのか秘密にしていた。
「出来るまでキッチンに来ちゃダメよ」
「あぁ、テレビでも見てるよ」
私はキッチンに篭って料理を始める。
ネットのレシピを確認しながら間違えないように作った。
「出来たよ~」
テーブルにカセットコンロをセットし、出来上がった鍋を置いた。
「おっ、良い香りだね
何鍋かな?」
「蓋開けてみて」
旦那が鍋蓋を取ると目を丸くした。
「えっ!?これって蜜柑…だよね」
「そう、蜜柑鍋よ
山口県の周防大島の郷土料理なんだって」
物知りな旦那もこれは知らなかったみたい。

「じゃあ、僕の番だね
すぐ出来るからちょっと待ってて」
そう言うと旦那がキッチンで何かをチンしていた。
「はい、どうぞ」
出されたのは赤い液体の入ったグラス。
「これって…ワイン?」
「モルドワインだよ
日本ではホットワインって言うけど…」
さすが旦那様、私はワインを温めるなんて思いもしなかった。
モルドワインで乾杯してから、未知の蜜柑鍋を美味しく頂いた。


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