【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第10章 絶頂エモーション.4
「そうだ。みなさん、今のうちに来月以降のスケジュールもチェックしておいてくださいね。」
「りょーかい。」
「あ!6日の集合時間、朝5時に変わってる!」
健十が澄空さんに返事したあと、悠太がスケジュールを見て大袈裟に驚いた。隣の剛士がため息をつく。
「一昨日澄空が言ってたぞ。」
「マジかー。最近朝早いの多いな〜〜寝坊しちゃいそう。漣ちゃん、朝起こしてー。」
「無理。」
僕の向かいから、悠太の手がにゅっと手が伸びてきて掴まれたが、僕はうげっと嫌な顔をした。
「うふふ。お仕事頑張る人には、きっとご褒美がありますよ!」
その言葉に暉がガタッと席を立った。
「なになに?!高級焼肉とか?!」
「即物的すぎるだろ。」
タツが突っ込んだ。
澄空さんが電話に席を立ったが、皆はご褒美の話で盛り上がっている。
「やっぱ、愛じゃないかな。」
「それなら、僕は貰うより、与えたいですね。」
健十のセリフに、得意げに返す帝人。
それに和南と百が感嘆した。
「いいこと言うね、帝人。」
「アイドルの鏡だな。」
澄空さんが電話から戻ってきたら、剛士がなにかに気づいて話しかけた。
「…?どうした。」
「すみません、急なのですが…今日の新曲打ちが変更になりました。16時からの予定が、アレンジャーさんの都合で、21時になります。」
申し訳なさそうな澄空さんに、健十が顎に手を当てた。
「じゃあ、俺たちも半日オフってことか。」
「ひゃっほー♪♪」
「ふふ。貴重なオフなので、ぜひ有意義に過ごしてくださいね。」
澄空さんは荷物をまとめて、また小走りで次の現場へと向かっていった。次はキタコレの収録らしい。その後ろ姿を見て、タツが苦笑いした。
「相変わらず、バタバタしてるなぁ。」
「4グループも担当しているし、仕方ありませんよ。」
帝人がフォローしている時、僕がトイレに立ったら、床に何かが落ちていた。拾い上げると、それはかわいらしい包みのチケットだった。
「これ、誰の?」
「さぁ。俺たちのじゃないな。」
「つばさじゃない?」
僕が聞くと、百と健十が答えてくれた。
たしかに、こんな女子っぽい持ち物持ってる人、B-projectには居ない。僕は澄空さんの後を追って、駆け出した。