【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第8章 絶頂エモーション.2
弥勒side
漣さん、金城さんとずっと同室だったらしいという話を聞いた。2人とも、本物の兄弟のように仲良しだと。でも、俺にはそうは見えなかった。2人とも、もっと別の感情を抱いているように見えた……
そんなことを考えていると、増長さんがソファで寝転がってる漣さんの頬に口付けているように見えた。俺は目を見開いてしまった。増長さんはこちらを見て悪魔のように妖しく微笑んでいる。チッという舌打ちが聞こえたと思ったら、俺の後ろに金城さんがいた。金城さんに向けてのイタズラだったのか。それとも、宣戦布告か。どちらにせよ、俺は眼中に無いんだなと思ったら悔しかった。
そんな男たちの攻防を知らずに漣さんはくすくすと笑っている。その笑顔も美しい。俺だけのものにしたい…… あんなことをされても朗らかに笑うほど鈍いのなら、もっと強く攻めてみようと心に決めた。
そして、同じく鈍い金城さんのことも。
「金城さん。俺、本気ですから。」
「はぁ?なんだよ急に…」
「金城さんは、漣さんに特別な想いが無いんですよね?」
「……」
金城さんは考えているのか、思考停止してるのか、黙ったままだ。
まあ、いい。他人がどう出ようが、自分は自分だ。
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主人公side
歓迎会は無事終わり、翌日。僕達THRIVEは収録のためマンションロビーで澄空さんの迎えを待っていた。
そうしたら殿くんが外から帰ってきたとこだった。
「おー。走り込み?朝から偉いねー。」
僕が声をかけると、長い脚でこちらへつかつかと歩いてきて、手をガシッと握られた。
「漣さん。今日も魅力的ですね。お仕事頑張ってください。」
アメジストの瞳がキラキラと輝いている。なんだこれ。
「お、おう。ありがとう。」
健十は腹を抱えて笑いを噛み殺してるし、悠太はたべかけのおにぎりを床に落っことすし、剛士は今起きた全てのことに対してこめかみに青筋立てて怒っている。
「では。」
颯爽と去っていった方を見ていると健十に肩ポンされた。
「漣、お疲れ。」
「健十、笑ってみてないで、助けろよ。」
僕は健十を小突いた。健十はにやにやしている。
「漣にもようやく春が来たんだなぁ。よかったじゃん。」
「僕、恋とか愛とかキョーミないから。」