第40章 ファミリーの庭園

10月12日



新年を迎えて4月23日に長男が誕生、新たに4人家族となった私達は実家の両親に「また！」と告げて異世界へと渡り、気が付けばすっかり秋になっていた

私の世界よりも四季の感覚は希薄な世界だが、それでも日陰で風に吹かれると肌寒い


クリクリ癖毛のポニーテールをルンルンで揺らしている娘は2歳になった

日々驚くスピードで語学を習得、随分とおませなお喋りさんに育った

本日は髪飾りに水玉模様のリボンを所望し、それに合わせたワンピースとの組み合わせを痛く気に入った様子でご機嫌である


そしてそんな娘と同じレベルでご機嫌な私……………


…………そう、本日は愛しのパーフェクトダーリンイルミ様の休暇！！！！！


私の世界で会社を立ち上げ、たった半年余りで大企業へと発展させたエリートな彼は多忙ながらリモートで仕事を進めたりしてオフの時間を作ってくれていた

しかし此方の世界ではそういう訳にもいかない

何せ彼の本職は異世界で名高い暗殺者なのだ


1年の留守の間に溜まった業務や依頼を次々にこなし、更には来年の休暇を作る為……彼は日々裏の世界で暗躍している

私がその活躍を直接知る事は無いけれど途切れる事の無い多忙ぶりを見る限り、やはり彼の腕は一流でそんな彼を頼る依頼人が沢山いるのだろう


つまり、此方の世界に帰って来た以前に増して多忙であり彼には休暇らしい休暇が無いのだ


彼は時折半日ほど家族の為に時間を取ったり、子供達をランさんに預けて私をデートに連れ出したりしてくれている

大好きな彼と久しぶりにお喋り出来るその半日が本当に楽しみで楽しみで………毎度ろくろっ首もドン引きの勢いで首を長〜〜くしてその日を待っているのだが

一方で彼が心配でもあった



日々命懸けで殺伐とした環境に身を置き、帰宅すればサラリと子育てをこなし、はたまた私とデートする際はロマンチック……………そんな生活がかれこれ2ヶ月……


全然ゆっくり出来ていないじゃないか！！！！！！


このままでは彼が過労死してしまう…………！！！！！