第1章 私のお兄ちゃん
「…貴方は、どうするの?」
「…ユイと、話してから行くよ。」
「わかったわ…」
また、すぐお別れだね
私のお兄ちゃん。また、直葉に、お兄ちゃんって呼ばれるんだね
「っ、なにこれ…」
「…茅場!」
「…久しぶりだな、 カナ」
「…何の用?」
「正確には、キリトくんに用事があるんだ。君も聞きなさい」
一歩、茅場から離れると頷く
そして茅場から一つの卵が出てくる
「これは世界の種子だ。君達で後は任せるよ。」
「…それだけなら、もうログアウトさせてちょうだい。私は、あの人達のために…責任を、取らないといけないから」
警察に、須郷もろとも…いかないといけないから
「まあ別に君が責任を取る必要はないと思うが」
「…キリト、さようなら」
茅場に返事せず、お兄ちゃんの待ってくれも聞かず、ログアウトの処理をした
「…やっぱり、メールが来てる」
携帯を手に取る
須郷からだ
…アスナの病院に、来なさい…ね
折りたたみナイフに手を伸ばし、掴む
…死んででも、あいつだけは…捕まえる
上着を着てナイフと携帯という軽装備で指定場所へ
お兄ちゃんに、一度だけ、現実で会いたかった…
外の自転車を走らせて、目的地へ急いだ
「っ、お兄ちゃんと…須郷!」
病院につき目についたのは、ナイフで斬りかかられているお兄ちゃん
「やめなさい須郷!只でさえ重犯罪を犯しているのに、これ以上どうするの!」
「うるさい!お前は、神に逆らうのか!?」
「神様なら、自分の欲望に負けて人を利用なんてしないわ!」
「黙れ黙れ黙れ!」
須郷にナイフを右腕に刺され、クッと声を漏らす
左手でナイフを取り出し刃を出すとお兄ちゃんに投げ、手元を蹴りナイフを飛ばさせる
お兄ちゃんが須郷の首元にナイフを近づけるとショックで気絶した
「…あんたは…」
「…行って。早く。この場は片付けておくわ」
涙を無理矢理こらえながら言う
お兄ちゃんは振り返りダッシュでアスナのところへ
これで、良かったんだよね。お母さん、お父さん
警察を呼んで、夜明けには逮捕されていた
その後知ったことだが誰も脳に異常は見られず、全員社会復帰可能だった
私は…逮捕される気だった
だが、親を須郷に殺され無理矢理言うことを聞かされていた私は…無罪だった
悪いことをしたことに変わりはないのに