第6章 恋の歯車、回り始めました〈カラ松〉
某哲学者の言葉にこんなものがある。
“簡単すぎる人生に、生きる価値などない”
このオレカラ松も全くその通りだと思っている。
某哲学者が何者なのか詳しくは知らないが、周りの連中はどいつもこいつもイージーなライフを送り過ぎている。
オレ(ら?)クラスにもなれば、やる気をだせばすぐにでも働けるが簡単に就職なんてしない。だってそんな人生、生きる価値もないくらいにつまらないからだ。
もちろん恋愛だって同じだ。
簡単に花子を手に入れてしまっては、オレの人生はつまらないものになってしまう。だから敢えて時間をかけて、花子の心も身体も全てオレのものにするのだ。
そして、花子を好きになってから早10数年。そろそろ機は熟したじゃないだろうか。
ん?
オレの言っていることが理解できない?
フッ、そう慌てるな、カラ松ガールズ。
オレが言いたいこと、実は今日、花子とデートする約束になっているのだ。
「ねぇ、カラ松兄さん。鏡見た?ほんとーにその服で行くの?」
蔑んだような目で、末弟トド松がこちらを見つめる。
「フッ。トド松にはまだこのパーフェクトファッションの良さが分からないのか。可哀想に。」
「分かりたくもねぇし。それに自分の顔がプリントされたタンクトップなんて普通絶対着ないからね。」
隣を歩く花子ちゃんが可哀想だよ、とボヤきながらトド松は大きくため息をはいた。