第2章 イソップ・カール
「このお店すごく落ち着きますね。」
『良かった。愛染さんに勧めたくて』
「ありがとうございます!すごく気に入りました!」
イソップ先輩はオススメの飲み物を注文してくれて暫く待っていると飲み物がでてくる。
店員さんが運んでくる時からとても良いチョコレートの香りがする。
(ココアかな?)
『この店特性のココアだよ。他のお店のココアとは全然違う香りと味なんだ。飲んでみて欲しい。』
そう言われ1口飲んでみる。
口の中に広がるココアは今まで飲んできたものと比べ物にならないくらい美味しく感じる。
「とても美味しいです。」
『愛染さんの笑った顔可愛いね。』
「ほ、褒めても何も出ませんよ。」
照れ隠しでつい反抗的な態度で返してしまった。
それでも懲りないのかイソップ先輩は笑いながら続ける。
『出なくていいよ。思ったことを言っただけだから。』
その言葉が私だけに向けられてほしいと思ってしまう。
好きとか恋とかした事ない訳では無いけど。
私も人間だからこの笑顔を独占したいという欲望に駆られた。
『愛染さんは恋人とかいるの?』
「居ないです、出会いがあれば良いんですけど笑」
『そっか。良ければなんだけど連絡先欲しい。』
「構いませんよ!ぜひ!」
イソップ先輩に連絡先を聞かれたのは正直嬉しかった。
かれこれ同い年くらいの男性と連絡先なんて交換してなかったから。
『もう遅いから送ってく。付き合ってくれてありがとうね。』
「こちらこそありがとうございました。」
住んでるアパートまで送ってもらい解散した。
帰宅してお風呂から上がるとイソップ先輩からメールが届いていた。
[ 今日はありがとう。次のサークルの時も個室の方で話そう。あの場所は2人の秘密で。 ]
2人の秘密という言葉は魔法なのか。
そう言われるだけで心が弾む。
恋と言うにはまだ早いかもしれないけど、イソップ先輩にまた会える喜びに浸って眠った。