第2章 海常高校戦 : 第1クォーター
真弓子『はい。クスクス・・・すみません。スルーして出て行こうとしたんですが、あまりの可笑しさに足が笑って動かなくて。クスクス・・・』
(そういや、昔から笑い出したら当分止まらなかったな・・・)
黄瀬は笠松先輩に向き直ると席に座るよう声をかけた
黄瀬「笠松先輩、真弓子ちゃんは笑い始めたら当分自分の世界っす。とりえず座って落ち着くまで待ちましょう」
笠松「あぁ・・・すまん」
黄瀬に話しかけられた笠松は我に返ると持っていた水を一気に飲み干し、黄瀬の後ろの席で未だに笑っている少女を見た
彼女の名前は百瀬真弓子
海常高校1年生、バスケ部マネージャー
帝光中学出身で黄瀬と仲良し、プラス黄瀬の彼女という噂あり・・・
入部して4ヵ月、真弓子はスケジュールの調整、部員の健康管理、ユニホームの洗濯から練習時の差し入れなど、先輩マネージャーが感心するほど熱心にやっていた
マネージャーの仕事は完璧なのだが・・・ただ1つ、真弓子は何も無い所で転ぶ
小さな石でもあれば理解も出来るが、何もあるはずもない体育館でも転ぶのだった
走ればその確率はさらに上がり、度々悲鳴が体育館に響き渡っていた
走らなければ転ぶことも少ないのにと思いながら観察してみると、走るのは誰かがケガをした時が多いことに気がついた
笠松(優しいんだな・・・)
自然と頬がほころんでしまう
真弓子『せんぱい?笠松せんぱい?あの・・・大きな声で笑ってすみませんでした・・・』
笠松「あ?ああ、すまん」
全く喋らない笠松が怒っていると勘違いした真弓子はシュンと項垂れていた
考えごとをしていた笠松には真弓子の声が聞こえていなかっただけだった