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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第10章 烏野の守護神




少しまともに働くようになってきた頭をフル回転させて、どんなチームだったかを振り返る。
そういえば、こうして相手側のチームの立場になって音駒メンバーを分析してみるのは初めてかもしれない。
音駒高校のスタイルがどんなものなのか気になるメンバーの視線を集めながら、私は少しずつ言葉を発した。


『まず、レシーブのレベルが全体的にとても高いです。···ボールを下に落とさない、繋ぐバレーが得意なんです。』


音駒高校の練習を見ていた時、レシーブ練習の多さと、レベルの高さに驚いたのを覚えている。音駒高校の監督の猫又先生が教えるプレイスタイルが、繋ぐバレーだからだ。


『音駒高校には、特に目立ったエーススパイカーがいる訳ではないんです。でも、対処力に優れていて、気づいたらいつの間にか打つ場所がなくなっている。』


それは、例えば迷路のようなものだと思う。
入口から入ったばかりの所は、まだまだ簡単そうに見えるのだ。
道は太く単純そうに。そして、そのまま進んでいけるのだと。
でも、進めば進むほど、道は枝分かれし複雑になり、行き止まり、気づけばゴールなんてとても見えず、立ち止まってしまう。
研磨とクロちゃんのいる音駒は、そんなチームだ。


『今の音駒高校は、強いと思います。』


ゴクリと、どこかで唾を飲み下す音が聞こえた。

「そうみたいだね。···また詳しいことは後で話すけど、音駒高校っていう好敵手の存在を聞いて、どうしても因縁の対決をやりたかったんだ。」

そう言った武田先生の瞳も、さっきの影山くんのようにキラキラと輝いて見える。

それにしても、東京から離れたこの宮城の地で、音駒高校の名前を聞くことになるなんて。
嬉しい気持ちが溢れてソワソワするのを止められない。
じっとしていられなくて、GW合宿についての話が一段落し、また開始された練習に合わせてお手伝いをしに行こうと足を踏み出した時、後ろから武田先生に呼び止められた。


「さん、少しよろしいですか?」

『??···はい。』


何かあったのだろうかと、先生に声を掛けられたことを不思議に思いながら、練習の邪魔にならないよう体育館の隅の方に移動すると、武田先生は話し始めた。




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