第10章 12月 イベント目白押し
部屋に戻ると、白石くんが思い出したかのように、あっと声をあげた。
「そうだ!!プレゼント持ってきたか?」
曲に合わせてプレゼントを隣に回していく。
曲が止まって手元にあったのは白い袋でラッピングされているものだった。
「真希ちゃんのやつ俺のやん、入浴剤やで。実用的やろ?」
ウチに回ってきたのは白石くんのプレゼントだったらしい。入浴剤しかも香り付き、実用的だし誰でも使えるとこを見るとちゃんと考えてるなと思った。
ちなみにウチは自分で焼いたクッキーにした。千歳くんに当たったみたいで喜んでくれたのでよかった。
プレゼント交換が終わると白石くんのお母さんがケーキを焼いて持ってきてくれた。
「うわぁ、ケーキ来た!!」
「切り分けるから待ちや、10人やから・・・・。」
「「「なんという無駄のない切り分け方。」」」
ケーキをみんなで頂き、明日からの練習のため早めに解散することにした。
「「「「ありがとうございました。」」」」
「こちらこそやで、せまっ苦しい所やけどまた遊びに来てや。」
白石くんのお母さんにお礼を言って、それぞれの家の方向に別れた。
「そうだ、真希先輩、これクリスマスプレゼントっすわ。」
「えっホンマに?・・・ありがとう。じゃあこれウチから。」
光くんから差し出された袋を受け取って代わりにウチも袋を渡す。
「手袋っすか?」
「おん。いつも思っとったんやけどポッケに手ぇ入れて歩いたら危ないんやで?手袋着けたら手ぇ出せるやろ?」
「・・・気を付けますわ。」
ウチも袋を開けて中を見る。ふわふわしたなにか・・ヘッドフォン?
「イヤーマフっす。先輩いつも耳真っ赤やから。今もですわ。」
光くんが手を伸ばしウチの耳に触れた。
「光くんも手ぇ冷たい。あっ、そうや!そのままちょっとしゃがんどいてな。」
「?」
ウチは少し背伸びをして光くんのほっぺたに触れるだけのキスをした。
光くんがキョトンとした顔でこっちを見ている。
「みんなと違うトクベツや。」
(小春先輩またなんか吹き込んだんやな。)
「みんなと違うトクベツならこっちにして下さい。」
光くんが近づいてくる。唇に温かいなにかが触れて離れていった。
(・・・く、く、クチにした。)
寒い寒いクリスマス。全身が熱くなっていくのを感じた。