第2章 4月 出会い
「はぁ~・・・懐かしいなぁ」
引っ越しの荷物が粗方片付いた部屋から,作られたばかりの新しいベランダに出て久しぶりの大阪の空を見上げた。
明日から四天宝寺中学校の3年生になる。小学2年のときに一度転校したけど高校受験のためにまた大阪に帰ってきた。
ということは,小学校1年まで大阪にいたということだが正直それまでの記憶はあんまり覚えていない。
片付けに夢中になっていたようでいつのまにか空は暗くなり星が出始めていた。
「真希ちゃんご飯できたで~」
「は~い。降りてくるよ~」
一階から夕ご飯のいい匂いがしている。リビングに下りるとテーブルには綺麗に夕ご飯が並んでいた。
「いただきます!」
「ん~おいしいわ~」
「真希ちゃんも明日から3年生やね」
お母さんが,ニコニコしながら話しかけてくる。
お母さんも久しぶりの大阪がうれしいようだ。
「せやね~前の学校がブレザーやったからセーラー服楽しみや。」
「真希ちゃんならかわいいからきっと似合うわよ~」
「また~お母さんたら何ゆうとんねん!お世辞はええよ~」
「またそんなことゆうて~。明日から学校なんだから,今日は早く寝るんよ。」
「ん~わかった。」
「ごちそう様でした。」
お腹がいっぱいになると,人間眠くなるもので・・・
引っ越しで疲れたのだろう。
シャワーを浴びると部屋に戻り,明日の準備をすることにした。
制服はクローゼットから出して壁にかけておいた。カバンは・・・明日は始業式だから中身はいらないか・・。明日の準備もあっけなく終わってやることがなくなったウチはベットに寝転んだ。
ふと携帯を見てみるとメールのランプが光っていて開いてみると前の学校の友達からだった。少し眠かったがいざメールを始めるとなかなか区切りがつかず,1時間ほど友達と話していた。
《もう遅いから寝るね。明日からがんばってね~('ω')》
という内容のメールが来たのでウチも寝ることにした。明日が来るのが楽しみのような不安なような複雑な気分だった。
明日から,新しい学校でどんな出会いが待っているのか。